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今回は近鉄から経営分離された、四日市あすなろう鉄道の話です。
他にも養老鉄道とか、伊賀鉄道とか、三軌鉄道北勢線も近鉄から経営分離した路線がありますね。
それについてはまた後日。シリーズ化(?)します。
今更になって、四日市あすなろう鉄道を取り上げたのは

と思い出したからです。暴言でゴメンナサイ(笑)
- 四日市あすなろう鉄道をナゼ作ったのか
- どうして近鉄は手に入れたのか
- ゲットしたのになぜ手放したのか
これらを分かりやすくまとめます。
四日市あすなろう鉄道の歴史
四日市あすなろう鉄道は三重県四日市市内を走っている、ローカル路線です。
近鉄四日市駅から内部までの内部線と、日永から西日野までの八王子線でできている、計7kmの鉄道路線。
日本でも3つしかないナローゲージという、線路幅がとても狭い鉄道事業者のうちの1つです。
最初は三重軌道が作った
四日市あすなろう鉄道の最初は、1912年のこと。
1912年8月14日に三重軌道が日永~伊勢八王子駅を開業します。
この時、まだ近鉄名古屋線はできてなくて、今のJR関西本線がありました。
ですが日本一の街道、東海道から微妙に離れていたため、少し不便でした。

というわけで、笹川通りに沿って鉄道を作ろうと計画しました。
同年の10月6日には日永駅~南浜田駅が完成します。(南浜田駅は廃駅)
1913年5月16日に南浜田駅~諏訪前駅が開業
1915年12月25日に諏訪前駅~四日市市駅が開業します。
まだ内部線はできてません。(近鉄名古屋線もまだ)
今は部分廃線になった八王子線は、四日市市八王子町まで延びてました。
ここには西光寺というお寺があって、室町時代にできてます。
そんな時から人が住んでいた地域だったので、それなりに繁栄していたのでしょう。
参考:西光寺について
三重鉄道ができる
この辺の経緯はよく分からなかったんですが、三重鉄道を設立して1度路線を廃止。
軽減鉄道として、会社をイチから作り直したようです。
軽便鉄道は、普通の鉄道とは違ってスペックが低い鉄道なので、別の法律にもとづいて建設できるのです。
ですので、国鉄を理由に許可が下りない。ことにはなりません。
他にも、安い値段で作ることができるというメリットがあります。
デメリットは、速度が出せないことや輸送力が落ちることです。
元々、日本一の街道である東海道に沿って、もう1本路線を作るつもりだったのかもしれません。
だけど、今でいう関西本線はもう国の運営になっていて、ヘタに逆らえない。
というわけで抜け道である軽便鉄道でやり直すことにしたのかも・・・?
路線を少しずつ伸ばしていく三重鉄道・・・しかし
1922年1月10日、日永駅~小古曽駅が開業
同年6月21日に小古曽駅~内部駅が開業しました。
もともとは、もっと延ばす予定で鈴鹿市伊船町まで計画していたようです。
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ですが話は全然進みませんでした。
- 用地の確保が進まなかった
- 供給過多による不況
- 鉄道収入の伸び悩み
三重鉄道は延伸できる余裕がなくなって、鉄道を延ばす免許の期限が切れてしまいました。
1920年の供給過多による不況は、戦争によって起こったモノの作りすぎです。
第一次世界大戦が終わっても景気は良かったんですが、世界中でモノがあふれてしまうことになって、売っても売っても買う人が居ませんでした。
今でいう『発注ミスしたから、安売りします!』みたいな状態がアチコチで起こり、モノの値段がどんどん下がって会社の売上が減少。
一気に不況へ転落しました。
激動の昭和
1928年に四日市中心部の路線を、親会社の伊勢電にあげます。

ですが四日市の街中に線路を通すスペースがなく、傘下にしていた三重鉄道を説き伏せて四日市から諏訪にセットバックさせます。
この時、近鉄湯の山線の部分はいつの間にか同じく伊勢電の傘下になってました。

1944年、戦時統合の命令が出て、三重鉄道は様々な会社と合併して三重交通ができます。
1956年に名古屋線の経路変更が行われて、終点駅をさらに変更。
1964年、湯の山線との売上差が激しくなり、直通運転が廃止に。
1965年、近鉄が三重電気鉄道を合併したことで、近鉄のものとなる。
1976年、八王子線の近くを流れる天白川が荒れまくって、路線が水没。
八王子線が全線休止してしまいます。
2年後に西日野駅までは運行再開できましたが、その先は営業を廃止することに。

というわけで八王子線は元の半分程度の長さになり、八王子線という名前だけが残りました。
内部線・八王子線の存続が危機に

近鉄は全然稼げないことに悩み、四日市市に何とかならんのかと文句を言いました。
四日市市は駅前広場の整備などをしましたが、全然効果がなく
2012年1月には、近鉄が

と大々的に発表しました。
これを聞いて四日市市の住民は存続に向けて動きます。
四日市市議会まで動き、最終的には15万人以上の署名が集まり、近鉄に提出。
他にもイベントを開催したり、沿線を盛り上げようとしました。
参考:東洋経済オンライン-廃線寸前だった弱小鉄道が生き残れたワケ

頭を悩ます近鉄。実は、毎年2億5000万円~3億円くらいの赤字が発生していたようです。






こうして近鉄と四日市がお金を出し合って、新しい会社を作りました。
この時、近鉄は75%の3750万円を出して、四日市市は1250万円を出して四日市あすなろう鉄道を設立。
公有民営方式という方式で営業することになりました。
コレ、近鉄は何も得してないやんけ。と思いますが
- 毎年の赤字垂れ流しがなくなった
- 鉄道会社の役員=近鉄の中の人
ですので、意外と損をしてないのです。
なんだかんだギリギリ続けている
四日市あすなろう鉄道は何とか続いてますが、右肩上がりでもなく、現状維持にもなってません。
なぜかというと、近鉄から分離してしまったせいで実質値上げになってしまったからです。
それに、頑張れば自転車で急行停車駅の塩浜駅まで行けるから、あすなろう鉄道を使うまでもないのです。
まぁ行き先によりますがね。
四日市あすなろう鉄道として運営を開始した時の輸送密度は4090と、地方路線としてはわりと高め。ギリギリだけど
輸送密度は4000に満たないところはバスに変えた方がいいと言われてるくらいです。
この数値は1日1kmあたりの平均乗車数のことで、高ければ高いほど儲かってるということ。
四日市あすなろう鉄道の現スペック
引用:四日市あすなろう鉄道フォトギャラリー・快走!なろうグリーン・ひながナローさん
四日市あすなろう鉄道は、今どうなっとるか・・・
適当に見ていきます。
つい最近になってICカードが使用可能に
2021年8月21日から交通系ICカードが利用可能になりました。
ですが、ICカード利用による割引はなし。
初乗り運賃は200円で、営業キロ3km以上は270円となってます。
わりと高いですね・・・
表定速度20km/hの内部線
内部線は営業キロ5.7キロの路線ですが、四日市から内部まで17分前後かかります。
これだと自転車で走り回れる人からしたら、お金の無駄に・・・
しかも近鉄四日市駅の周りにある駐輪場は1日120円
あすなろう鉄道を使うより安いのです。
参考:四日市市
なんしナローゲージのデメリットで、速度が出せない。
最高速度は45km/hですが、駅間距離があっても1.1kmなので、ほとんど最高速度は出せません。
存続は大丈夫だけど、危機感がない
経営自体は特に問題ありません。損失があれば、四日市市から補てんが出ます。
そもそも国や三重県からも補助支援があるので、経営そのものは大丈夫です。
その代わり、利益が出たら市のものとなります。
とまぁこのように潰れることがまず無いので、危機感はありませんね。
あすなろう鉄道のホームページしかり。FacebookやInstagramのアカウントはあるものの、あまり本気でやってない感じがします。
まとめ:四日市あすなろう鉄道に希望はあるの?
未来への希望、明日に向かって・・・と、ナローゲージから「あすなろう鉄道」という名前になったみたいですけど
このままじゃ、ジリ貧だろうなぁと思う私。
潰れる事はないんでしょうけど、どんどん利用者は落ちるかと思います。
それでは今回はこの辺で・・・またね
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