橿原線は近鉄(大軌)が自社で作った2つ目の鉄道路線で、パワースポットに鉄道を直接引いた初めての路線でした。
そして橿原線を作る頃から、近鉄の得意技?とまで言われた「吸収合併」が始まります。
ことの発端は、近鉄(大軌)の第1の計画から始まりました。
「奈良をもっと便利にする!」からできた近鉄橿原線
その2年前の1921年、大軌が奈良線の西大寺から郡山までを開業させました。
この時の奈良の鉄道網はどうなっていたのでしょう?
橿原線の部分開業前(1921年3月時点)の奈良
橿原線ができる前の奈良には、すでに鉄道がいくつかありました。
といっても分かりづらいと思うので、奈良の白地図にラインを引いてみました。
星の部分が橿原神宮です。
このように日本の初代天皇、神武天皇が祀られている橿原神宮には、そうホイホイと行けるようになってません。
それだけでなく、奈良盆地を南北に縦断する鉄道路線があるにはあるけど、ちょっと不便です。
ここから大軌(近鉄)の吸収合併が始まる
大軌は橿原線を作るための免許を国に求めました。すると
鉄道は国にとっては血管のようなもの。作りすぎて潰れてしまうと国力の低下になってしまいます。
時は大正。世界列強に肩を揃えるためにも、全速前進で国力を高める流れでした。
当時は鉄道が最強で、人・モノを一気に運ぶ手段として用いられてました。
というわけで、国からの命令は当然のことです。
これに対して天理軽便鉄道はあっさりと大軌に買収されました。
ですが今の田原本線を持っていた大和鉄道は
と、大軌を雑に扱いました。
この先の大和鉄道と大軌のやり取りは田原本線の記事でします。
こうして橿原線の部分開業の前に、今の天理線にあたる天理軽便鉄道を買収しました。
大軌が目指した先「橿原神宮」
大軌は奈良をまっすぐ南北に縦断する鉄道を作る計画で、最終的には橿原神宮を目指します。
橿原神宮は日本でも有数の超パワースポット
関連記事:映画のロケ地にもなった近鉄・橿原神宮前駅
橿原線ができる時代にはすでに「都市と有名寺社を繋げる」というブームがありました。
これらは寺社への輸送を目的とした路線で、橿原線が完成する前にできてます。
吉野も狙ってた大軌
橿原神宮の南の方には吉野があります。
とまぁ観光地としてのスペックはかなり高いですね。
ですが、吉野には吉野鉄道がすでに鉄道が通ってました。
橿原線の全通と同時期に吉野鉄道は、六田~橿原神宮まで開通させました。
と思っていた大軌。まぁ話はトントン進むのですが、この話は吉野線でしますね。
かつてあった、八木西口スイッチバック
今では新ノ口駅の南から大和八木の大阪線へ繋がる新ノ口連絡線がありますが
昔はそんなものなく、今の八木西口短絡線を使って橿原線と大阪線が繋がってました。
大阪方面に行く時はスイッチバック1回で良いのですが、1967年まで連絡線はなし。
1931年には大阪・伊勢の鉄道路線が完成しているので、橿原線からの伊勢方面への直通はスイッチバックが2回も必要で大変でした。
伊勢ルートが確立してから結構あとですが、新ノ口連絡線ができて便利になりましたね。
ちなみに伊勢中川短絡線も同じくらいの1961年に運用開始です。
近鉄橿原線の今と将来
橿原線の営業距離は23.8キロです。実際はもう少し長いですがね。八木~八木西口の0.4キロ分が入ってないので。
大軌が「奈良を便利にするぞ」と意気込んで作りましたが、スペックはそんなに良くありません。
橿原線のスペック
- 3種別運行
- 待避駅は1駅だけ
- 最高速度100km/h
なんし待避駅が1つしかないのがネックで、急行を待つより先に出る普通に乗った方が早く着くんですよね。場合によるけど。
しかも速度が出せない。
大阪線は急行でも結構飛ばすのですが、橿原線は線路構造上、飛ばすことができません。
線路幅は標準軌なのですが、その線路を支える部分が弱いのです。
ですので、速度を抑えて運転しないと危険らしい・・・
橿原線で1番新しい駅
近鉄橿原線のほとんどの駅は、路線開業と共に駅の運用が開始してます。
今の所、あとで追加された駅は「ファミリー公園前駅」だけです。
この駅は併設されている、まほろば健康パーク(今の名称)の完成と共に開業しました。
詳しい話はこちら→「ファミリー公園前」近鉄橿原線で最も新しい駅が近いうちに2番目に
橿原線に新駅ができる!
まだ開業日未定ではありますが、奈良県立医科大学のリニューアルに伴って新駅の設置がほぼ決まってます。
近鉄は、この新駅開業ついでに八木西口駅は潰すつもりだったそうですが・・・
どうやら近鉄は態度を軟化させたそうです。
参考:近鉄 橿原の新駅整備めぐり 八木西口駅の存続前提で協議へ-NHK
大学の先行整備完成予定は2024年です。
沿線の開発がボチボチ進む
先ほど言いました、奈良県立医科大学と附属病院のリニューアルもそうですが
ファミリー公園前にある、まほろば健康パークもリニューアル予定です。
橿原線が2023年3月現在より多少は上向きになりそうな・・・そんな感じですな。
まとめ:近鉄橿原線はこれから右肩上がりか
ですが、今後の沿線開発で少しはマシになりそうですね。
「奈良を便利にする」「橿原神宮に行きやすいように」という目的で作ろうとした近鉄(大軌)ですが、すでに他の私鉄がチラホラあった理由で合併を国から命令されました。
ここから近鉄の合併ラッシュが始まります。
近鉄の歴史はこちら→近鉄はどうやってできた?歴史をイチからたどってみた(前編)をご覧ください。
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