撮り鉄の鉄道ノート

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近鉄御所線は計画の16.6%しかできてなかった?幻の「五新線」と繋がってた可能性は

計画の16.6%しか完成してなかった近鉄御所線

引用:Googleマップ

近鉄御所線は、南大阪線の支線みたいな感じで、尺土駅から延びている近鉄の路線の1つですね。

近鉄御所駅は、登山スポットの葛城山の入り口駅です。特にツツジの季節になると賑わってます。

そんな御所駅の南端は中途半端に線路が残ってます。

御所駅

引用:Googleマップ

これは元々、御所線の計画がもっともっと大きかったことによるものです。

御所線の当初計画は30km級の路線

御所線の当初計画は30km級の路線

御所線はもともと奈良県五条、和歌山県橋本・学文路まで延ばす予定でした。

ですが、経済的な事情で諦めることになってしまいます。

御所線のオーナー、南和電気鉄道

南和電気鉄道は、今の近鉄南大阪線を持ってた、大阪鉄道の仲間です。

関係性でいえば「俺たち親友」と言いあうくらいの距離感で、親分・子分という感じではありません。

南和電気鉄道は1928年に尺土(正確には磐城村)~五条の免許をゲット。

1929年に五条~学文路の免許をゲットしますが、不況の波が日本にやってきます。

鉄道業界を苦しめた昭和世界恐慌

1929年に世界恐慌が始まります。

理由は、アメリカの株が大暴落したことによるパニックです。

  • 第1次世界大戦が落ち着き
  • アメリカに頼らなくても大丈夫になり
  • アメリカの需要と供給のバランスが崩壊

これにより、投資家が危険を察知して先に逃げました。

売りが売りを呼んで、世界恐慌に。

景気ってのは本当に気分に左右されるんで、怖いですね。

とりあえず御所まで延ばした

不況とはいえ、鉄道を延ばすことは決めたし、やれる分だけやっちまおう。

ということで、南和電気鉄道は御所まで「とりあえず」延ばすことにしました。

そうして、1930年12月9日に尺土~近鉄御所が開業。

その後は不況から抜けることもありましたが、戦争もあって計画はストップしたまま。

気付けば国からの命令で私鉄合併に巻き込まれ、すべて関西急行鉄道に。

その後、近鉄となって近鉄の持ち物となりました。

1958年に五条~学文路の免許が失効

1991年には御所~五条の免許も失効してしまいます。

御所線は後回しに

近鉄は戦後にメインである名古屋線大阪線奈良線を中心にあれこれ更新を行いました。

御所線の優先度は低く、完全放置状態に。

車の普及率も上がってしまい、五条まで延ばす理由が薄れていってしまいます。

結局、御所線延伸計画は消えてしまい、バスで御所と五条を結んでますね。

正確な延伸計画は分かりませんが、多分こんな感じだったのかも?

延伸計画

引用:Googleマップ

JR和歌山線吉野線の近くを通ってるので、それよりも西側の御所市朝妻や鴨神を通って行く計画だったと思います。

その先は知らん。(笑)

吉野川をさっさと渡り、JRと川をへだてて、すみ分けるつもりだったのかなぁと想像しました。

そもそもJR和歌山線がとっくの昔にできていた

JR和歌山線は1896年に高田~五条が開業していて、1907年に国有化。

それよりもあとに南和電気鉄道が免許をゲットしてるんで、国鉄様が文句をいわないルートだったんだろうと想像できます。

日本が落ち着いても

御所から五条までJRあるし、いいや

とか思ってたのかもしれません。

1943年には奈良交通ができていたので、バスでもいいから通しておけば近鉄グループの売上になりますからね。

幻の路線「五新線」は近鉄が買い取る気はあったのか?

五新線は国鉄が計画していた「五条」~「新宮」の計画路線です。

1939年に工事が開始しますが、戦争で一時中断。

戦後に再開しますが・・・

  • 鉄道→車の流れが止まらない
  • 景気が下がり気味
  • 国鉄が下がり傾向

というわけで国鉄は計画を完全凍結します。

仮に近鉄御所線を最低限の五条まで延ばしたとしても、当時の状況から考えると、五新線の権利を買い取ってまで新宮まで作る気は無かったと思います。

近鉄もそこまでの勢いは無かったでしょう。

当初の計画では尺土ではなく磐城からの分岐

鉄道免許の内容は磐城村~五条町です。

ちなみに今の尺土駅あたりは1920年代当時、そこまで賑わっている地域ではなかったと考えられます。

理由は葛城市の成り立ちから、何となく。

当時は磐城村・當麻村・新庄町・忍海村がありました。ですが、尺土はなし。

だから磐城から延ばそうとしたのでしょう。

なぜ尺土にしたのかは、多分ですが資金不足。

尺土~新庄は約2.4kmですが、磐城~新庄にすると約2.8~2.9kmのルートになるでしょう。

というわけで尺土で妥協したんだと思います。

近鉄御所線の今後、どうなる

近鉄御所線の今後、どうなる

どうもこうも、御所線はこれ以上の発展はないと思います。

区間において、複線化のための敷地は確保してありますが、複線化することは今の状況ではあり得ないでしょう。

近鉄のシェア率は下がらない

なんし奈良県のJRはモチベが無いのか、ほぼ近鉄に負けてます。

強いのはほんの一部区間だけかと・・・

近鉄は2023年春に運賃改定をしましたが、利便性という点でJRには圧勝です。

特に、通勤通学需要は近鉄の方が便利だろうという感じ。

参考資料:御所市の現状(PDF)
葛城市総合戦略(PDF)

近鉄は大阪への通勤通学需要を意識して、上り電車との接続が良いダイヤを組んでます。

もちろん、客を動かさず電車を動かすスタイルです。

これが近鉄クオリティ

一定の需要はあり続ける御所線

御所駅から行ける、葛城山は登山スポットとしても有名ですし、ダイヤモンドトレールという鬼畜コースの一部にもなってます。

ダイヤモンドトレールは

香芝市の屯鶴峰(どんづるぼう)→二上山大和葛城山金剛山岩湧山槇尾山を結ぶコースで、約45kmのコースです。

関連記事:近鉄の駅間距離4位!上ノ太子~二上山は偶然の産物?

平坦で45kmではなくアップダウンありの45kmなんで、簡単にクリアできるものではありません。ですが、疲れた人用に途中離脱のコースもあります。

まぁ、葛城山ツツジやススキのスポットですので、葛城山を単体で楽しむ人が多いです。

公共交通機関が整備されてますし、近鉄がお得な切符を販売することもあります。

登山道はありますが、ほぼ整備されてない急勾配ですので、ロープウェイに乗った方が良いでしょう。

まとめ:御所線は、言うほど便利ではない?

朝には阿部野橋行きの直通の準急が出てますが、それほど便利ではないかなぁと思います。

ですので、御所線の未来はあまり明るくない気がします。

あくまでも葛城市・御所市単位での統計なので、御所線を使っているかどうかは別ですからね。

ちょっとお出掛けなら、車で高田まで行くでしょう。

大阪まで行くとなったら、わりと距離もあるし、運賃も安くありません。大阪阿部野橋まで680円~760円します。

まぁ、奈良県・葛城市・御所市が頑張れば複線化までは持っていけるかもしれませんね。

今回は、ここまで。ではまたの。

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